隊長ですに。
バス停。
三重県鈴鹿市西玉垣の安塚口というところ。
住所はちょっと怪しいけど、まあその辺はご容赦を。
今日久しぶりに前を通って、たまたま信号で止まったので妻に撮影してもらった。
実はこのバス停はわたくしの旅のはじまりであり、旅の終わり。
幼稚園に入って間もない頃から、このバス停のそばにある母の実家で夏休みを過ごすようになり、長い時は1ヶ月近くおじいちゃんおばあちゃんの家で暮らした。
最初は母に車で送り迎えをしてもらっていたが、そのうち母の仕事が忙しくなり、小学校にあがる前に、たったひとりでバスに乗って、津から鈴鹿まで、およそ30キロほどの旅に出たのである。
始発の三重会館というバスターミナルまで連れて行ってもらい、バスに乗るまで見送られ、そこからおよそ1時間、ひとりだけの冒険をしたのだ。
あの時の不安な気持ち。
緊張感。
そして、コールタールかオイルに浸したバスの床の匂いとバスの軋む音を今でも覚えている。
バスが停まるたびに不安げにまわりを見る。
運転手さんをうかがう。
母が降りる駅を運転手さんに伝えてくれていたのだ。
目的地の安塚口にはおばあちゃんが迎えにきていて、確かバス代を払ってくれたように気がする。
わずかこれだけの旅だけれど、このときの勇気と達成感と、あの震えるような不安が、今の自分の人生を決めたような気がする。
次へ向かおう。
不安でも先に進もう。
その原点はここにあるような気がする。
旅はまだ終わらないけれど、わたくしたちはずっとバスに乗っている。
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