隊長ですに。

三重県津市美里町。
山あいにひっそりと佇む、わずか4000人足らずの、かつて村と呼ばれた地域に劇場ができた。
地域のいろんな人が声をかけて、工事を手伝って、応援して。
計画から2年近い月日を費やしてようやく村の劇場がオープンにこぎ着けた。

「私は美里のような田舎に生まれたことが嫌々でたまらなかった・・・
 でもその美里に劇場ができるなんて!!
 お芝居を楽しむことができるなんて・・・・!!」

そんな地域の人の声を聞いた。
私も、心からうれしい。

恵まれた自然、環境があっても、人が生活していく以上、そこに文化が必要だ。
文化はより生活を豊かにする。
豊かな生活は文化を熟成させ、そしてそれは歴史になっていく。

地域の文化と歴史とは、つまりそういうことなのではないかと思っている。

美里はもともとクリエイターが多く暮らす町だ。
里山の自然の中で、ゆるやかに確実な文化を育んでいる。
でも。
劇場が出来たことで、ひとつの形が確定的となり、大きな渦の中心となって美里の町を大きく動かしはじめたような気がする。

11月24日。
こけら落としから2日めのお芝居にお邪魔した。
演目は「シンデレラ」。

とてもいいお芝居だった。
笑って笑ってホロリと感動した。
いや、正直にいうと、劇がはじまるや否や過剰に感動して涙腺がゆるんでいた。

「この美里に劇場ができるなんて・・・!!」

中学に通う娘は、自分が暮らす地元で、生のお芝居を目の当たりにできるのだ。
表現することがいかにむずかしいか。
でも、ほんの身近な人がそれをやっているんだという事実。
夢は雲の上の話ではなく、ドアをひとつくぐった向こう側ぐらいにあるのだ、ということを伝えられるうれしさ。

新しい美里がはじまる。
サルシカもそれに応えなくては!!!!